2011年11月28日月曜日

今日のチラ見せ



irukaの開発に時間がかかっている理由の一つとして、他のメーカーだったら気にせず既製品を使うような箇所でも、僕たちが重要と思うパーツは独自開発を進めている、ということがある。

例えば、走行状態のときに折りたたみ箇所を固定するロック機構。
安全性が重視されるのはもちろんだけど、折りたたみ時/展開時に直接触れる部分なので、使い勝手の良し悪しによって自転車全体の印象を左右する重要なパーツだと思っている。

ダホン(台湾の最大手折りたたみ自転車メーカー)など独自の機構を開発しているブランドもあるが、日本の折りたたみ自転車の多くはメーカーが中国の工場から出来合いの車体を買い付けて適当なシール(クルマブランドとかね)を貼って売ってるだけのものなので、大半が使い勝手は良くないが安価で製造も簡単な、レバーをくるくる回して締め込むかクイックリリースで固定する機構が用いられている。

irukaはロック機構だけで20パターンくらい考えてきたかなあ。
そのうちいくつかは「これぞ最高!」と思ってTwitterで「発明しちゃった。えへへ」的につぶやいたりしたけど、模型を作って検証したらイマイチだったり、なんやかや弱点が見つかったり、これが意外と、というか本当に難しかった。

なんだけど、できちゃったよ。世界最高のロック機構。わはは。

3Dプリンタで作った実物大模型の図。といっても例によって具体的には何ひとつわからないと思うけどw
使用感はばっちり。現在進めている試作第三弾にももちろん搭載予定。



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冒頭の写真は日暮れ前の新宿花園神社。酉の市の前で屋台の設営が進んでいた。


2011年11月8日火曜日

関税ますます逝ってよし


EUは中国からの輸入自転車に対して、実に48.5%という高い関税を課している。

1993年には税率30.5%だったのが、2000年に34.5%、2005年に48.5%と段階的に引き上げられてきた。
税率を上げているということは、中国からの輸入は減っていない、ということだろう。

確かに、製造原価1万円の自転車に48.5%の関税が課されても、トータル原価は14,850円。
ローエンド自転車であれば、税率が高くても元値が安いので価格競争力は十分にある。

しかし、元値が高いハイエンド自転車に対する影響は大きいのではないか。
irukaの量産を進めようとしている中国メーカーY社で尋ねてみた。

Y社は、台湾メーカーM社の中国子会社である。
台湾からの輸入自転車に対するEUの関税はゼロだ。
そこで、Y社は中国であらかた作った自転車をいったん台湾に送り、台湾で最終の組み立てを行なってEUに輸出することで関税を回避しているという。
他の多くの中国メーカーも同様の手を使っており、僕もiruka輸出時は同じ手段をとらねばならない。

関税のせいで、本来不要であるはずのエネルギーが消費され、その分の温室効果ガスが排出されているわけだ。
そしてそのコストを最終的に負担しているのはEU市民だ。
なんたる無駄。非効率。不合理。

僕はヨーロッパが大好きで、iruka発売後は営業活動を兼ねてヨーロッパに生活拠点を築きたいと思っているほどだが、こういうEUの保護主義的な面は本当にいただけない。

というわけで関税ますます逝ってよし。リディキュラス。

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政治的には中国は台湾と常に緊張状態にあるのに、台湾資本の中国法人は非常に多い。
経済発展最優先という中国政府のあけすけのなさが、潔くて好きです。

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TPP? 交渉参加に決まってるでしょ。以上。

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写真は朝の野球グラウンド。有栖川公園。



2011年11月7日月曜日

量産への道(に至る道)


先週は中国江蘇省・常州の工場Y社で、iruka試作第三弾および量産に関する打ち合わせ。
中国人エンジニアたちは実にプロフェッショナルで、生産的な滞在だった。

もちろんまずは次の試作がうまくいくことが前提なんだけど、量産に向けた検討事項もだいぶ具体的になってきた。
自分の頭の整理も兼ねて、何回かに分けて主なイシューについて書いてみたいと思います。

イシュー、というのは(順不同)

・量産コスト
・リードタイム
・強度テスト
・物流と決済

など。

これまでも楽しかったけど、ますます楽しくなってきたよ。

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写真は公園に咲いていた野良アサガオ。