2010年6月17日木曜日

デザインとはHow it works


先日神保町の居酒屋で飲んでいて右手の指先にトゲが刺さり、どうしても抜けず痛くなってきたので病院に行く羽目になった。

なぜ居酒屋で指にトゲが刺さるのか?
その店は壁の酒棚の一部が隠しドアになっていて、その裏にトイレがあるという構造だった。
僕はトイレに入ろうとして木製の棚(兼ドア)を押した。
で、その棚がささくれていて、トゲが刺さったというわけ。
ちなみに酒瓶がぎっしり詰まっているので、ドアとしても異常に重く開けにくい。

某国で非日常的な空間ともてなしを売りにする某有名リゾートホテルに泊まったときのこと。
部屋のド真ん中にバスタブが置いてあった。
シャワーブースは部屋の隅。
床にポタポタ水を垂らしながらシャワーからバスタブまで移動しなければならない。
また、バスタブは周囲が壁に接していないからすぐ冷めちゃうし、だからとお湯を足しすぎるとオーバーフローの排水口がついていないからあふれてしまう。あふれたら部屋が水浸しだ。

デザインを重視するあまり、機能が損なわれている例だ。
というか、デザインとは何なのか誤解しているのだ。

かのスティーブ・ジョブズ曰く「デザインとは How it looks ではなく How it works だ」。
彼らはデザインを単に How it looks と考えているのだろう。
ひところ流行ったデザイナーズ家電とかデザイナーズマンションにも同じ例は多い。

僕は誓います。
irukaには機能的に意味のないデザインは一切施しません。

ちなみに上述のホテルは、何と言うか、セレブご用達みたいに言われることが多い。
かような不便も楽しめないとセレブとは言えないのか。
セレブ道は長く険しい。

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写真はルクソール神殿。右側のオベリスクはフランスにあげちゃったんだって。あげちゃダメだよう。


2010年6月10日木曜日

事を成すのは長い旅


「インビクタス」を見ました&読みました。
南アフリカのマンデラ元大統領とラグビーワールドカップの話です。
エジプトに行く機内で映画インビクタスを見て感激し、帰りの機内でも二度見し、帰国後原作の小説インビクタスを買って読んだ。

とにかくまあ、映画も小説もすごいです。
ぜひ見て&読んでいただきたい。超おすすめ。

映画はマンデラが刑務所から釈放されて大統領になるところから始まるけど、小説では大統領になるまでに本の半分が割かれている。
マンデラがアパルトヘイトに反対する政治犯として終身刑で投獄されてから釈放まで26年、大統領に就任するまで実に30年かかっているからだ。

マンデラは刑務所で看守から白人の言語を学び、白人の考え方や生活習慣を学び、丁寧に忍耐強く白人たちとの対話を重ねて釈放を勝ち取り、ついには大統領になり、自分を虐げた白人に復讐することなく融和を図り、アパルトヘイトをなくした。
すごいとか、尊敬するとか、何を言ってもうすっぺらにしか響かない。
30年ですよ、30年。
しかも終身刑で、どうして希望を失わなかったのか、想像もできない。

レベル感は違うけど、ジョブズがアップルを追放されてから、iPadを発表して時価総額でマイクロソフトを抜いた今年まで25年だ。

「事を成す」のは長い旅、スピードや時流に乗ることも大事だけど、旅を続けられるかどうか、意思の力が最も大切なのだなあと思った。
逆に言えば、孫正義氏は「登る山を決める」と言うけど、成果が出るか確証がない状態でも30年続けられる仕事または事業を、選んでいるかということだ。

irukaは・・・もし最初の数年でぜーんぜん売れなかったら、正直言って30年はちょっと自信がない。
僕はやっぱり凡人なのかなあ。
まあでも、凡人なりに、やるだけやってみます。

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写真はスフィンクスとピラミッド。


2010年6月7日月曜日

起業して後悔する人はいない


古巣オプト時代の後輩が一人、起業のために退職すると聞いた。
オプトは意外に起業する社員が少なかったんだけど、ここ2-3年で明らかに増えた。
良いことだ。
会社にとって起業する社員が増えることは、短期的には戦力ダウンになるが、長期的には組織の魅力を高めると思うからだ。

と言いながら、役員だった頃は立場上「もうちょっとオプトでがんばろうよ」と全力で説得していたけどw、今は起業したいという相談を受けたら一切止めない。
もちろん楽ではないし、思い描いた結果になる可能性も決して高くはないかもしれないけど、楽しいもん。

少なくとも僕は、起業して後悔しているという人に、会ったことがない。
「起業はそんなに甘いものじゃない」「サラリーマンもできない奴が起業して成功するはずがない」「経験も人脈もないじゃないか」「会社勤めから逃げてるだけだろう」なんてことを言って反対するのは、起業したことがない人ばかりだ。
そんなことは起業する人は皆多かれ少なかれ不安に思っていて、それでもなおチャレンジしようとしているのだ。
どんな理由であれ、どんなきっかけであれ、僕は新しいチャレンジをする人が好きで、応援したいと思っています。

などとあたかも僕に豊富な起業経験があるかのように書いたけど、僕はオプトでは「起業のプロセスに参加した」けど「僕自身が起業したわけではない」と思っていて、ちょっとした引け目のようなものを感じている。
確かに事業と資金の両面においてオプト創業メンバーの一人だったけど、起業したのはやはり創業社長の鉢嶺だし、2001年にネット広告代理店として再出発した新オプト(と便宜的に呼ぶ。僕はオプトは2000年以前と2001年以後は別の会社だと思っている)を作ったのは当時代表になった海老根だ。
「自分一人で起業したらどうなるか試してみたい」という思いは、イルカ起業の(大きくはないが確実に)理由の一つであったと思う。

というわけで、100%自分の起業という意味ではイルカが初です。
起業したばかりの人、同期として仲良くしてくださいw
現在起業を考えてらっしゃる人、ぜひ一緒に挑戦を楽しみましょう。

*このエントリを書くきっかけのブログを紹介しておきます。
起業したい若者に対する大人の本音
どんだけマッチョじゃないと起業できないんだ、日本は

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写真はモスク尖塔から見下ろしたカイロ市街、イスラム地区。