2010年12月6日月曜日

試作第二弾、その後


先月イルカオフィスに到着したirukaたん試作第二弾(T1プロトタイプ)、その後大阪の設計パートナー梁さんの元に旅立って行きました。

先週大阪に打ち合わせに行ったところ、irukaたんは梁さんによってあちこち切り貼りされたり穴を開けてケーブルを通されたりフランケンシュタインさながらの姿に。
irukaたん、君のためなんだ、我慢してくれw

フランケンirukaで大阪のオフィスの廊下を爆走したりw、試作第三弾(T2プロトタイプ)に向けた変更点を検討してきたんだけど、実感するのは、まーとにかく、実物があると話が早いということ。
ネット業界では最近エンジニア採用合戦がヒートアップしてるみたいだけど、気持わかるな。とりあえず作っちゃってあれこれいじるのが一番早いもの。続けるのも止めるのも、結論が早い。

今回も何ヶ月もかけて考えたある機構を試作の結果あっさり採用しないことを決めて、ちょっともったいない気もするけど、いらないんだからしょうがない。むしろ早めに結論が出せてよかった。
僕は前職オプトでの成功体験はほぼ全てフォーカスすること、ニアリーイコール捨てること(2000年の倒産寸前の大赤字状態から、4つあった事業を一つに絞ってV字ブレイクしたことなど)に起因してるので、サンクコストの考え方とか、何かを捨てるときの気持のケリのつけ方なんかは割に慣れてる方かもしれない。

まだ試作第三弾には着手できていないけど、ひとまず懸案だったハンドルのクイックさ改善の目処が立った点はうれしいな。
小径車は車輪が小さい分ハンドルがふらつきやすくなる(=クイックである、と表現する)という構造的な問題があって、主にヘッド角オフセット量のバランス(→トレイルが定まる)やホイールベースの長さによって操作性が大きく変わってくる。
試作第二弾ではヘッドを通常よりやや寝かせてトレイルを長くとっていたんだけど(さらに実物は図面より1°寝ていたこともあり)ハンドリングにやや山があった。
なんだけど、ヘッドを2°だけ立てたらかなりバッチリに。
1°2°でこんなに変わるんだって感じ。
自転車、深いよ。

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写真は熊野川。川下りの舟上から。


2010年11月16日火曜日

irukaにバッグを持たせてみた


イルカでは前回紹介した輪行カバーの他に、バッグの試作も進めています。

走行時はiruka本体に取り付け、取り外したらショルダーバッグになる2WAYバッグ。
浅く横長の作りで、財布とか携帯とかカギとか小物類の収納に最適。ほぼ手ぶらで出かけたいときに。
どうやって自転車に取り付けるかはまだ秘密なのがこのブログの常。



上のバッグよりやや大きめでメッシュ地のマルチバッグ。
ラップトップ(写ってるのは新MacBook Air。へへへ、すごくいいよ)とかカメラとかスケッチブックとかビーサンとか犬の散歩グッズとか何でも突っ込んで出かけちゃう感じ。
こちらもiruka本体に取り付けて使います。



ただ、この二つのバッグだけでは積載量は足りないと思っていて、リュックとかトートバッグとか大きめの荷物もirukaにアタッチして運べる機能を考案中。
もちろんリュックやメッセンジャーバッグを自分で背負うからいいよって人もいるけど、肩こるじゃないですか。
僕だけかな? そんなことないよね?

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冒頭の写真は熊野古道・那智大社。

2010年11月15日月曜日

irukaに服を着せてみた



秋も深まってきましたね。
irukaたん試作第二弾が寒そうだったので、服を着せてみました。



よしよしirukaたん、あったかいでちゅねー。

ってそれじゃキティじゃないですかw

服ではなく、iruka専用オリジナル輪行カバーです。

株式会社イルカは産業分類としては自転車製造業ですが、ビジネスモデルは「いつも自転車と共に行動するライフスタイル」を演出する会社(「株式会社イルカのミッションとビジョン」参照)。
製品のコアである自転車は1車種のみにフォーカスした上で、アクセサリ類とユーザーサービスを充実させて、乗り手の自転車生活を楽しく便利なものにしていきます。
輪行カバーもその一つ。詳しい説明は避けるけど、irukaを運びやすいよう数々の工夫が施されています。

たたむとこんなに小さく。
我ながら、これは便利だ。市販の輪行バッグってどれも大きいんですよ。
試作一回目としては、かなりのレベルじゃないかなー。



メイキング・オブ・iruka輪行カバー:バッグデザイナーの斎藤さん、型紙を作るためirukaに紙を巻くの図



実はバッグ類も作ってるのですが、ま、追々。

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冒頭の写真は9月に行った熊野古道・旧熊野本宮大社。


2010年11月12日金曜日

iruka試作第二弾


帰りはちょっと大変だったんだけど、中国からiruka試作第二弾(T1プロトタイプ)を連れて帰ってきました。

工場に着くと電光掲示板に迎えられ、



もれなく乾杯一気がついてくる中華宴会と



大カラオケパーリーを経て(このときは20人くらいいた)



海を超えてイルカオフィスに着いたirukaたん(左)。
折りたたんで、普段の僕の愛車DAHONヘリオス(右)と並べてみました。
なんということでしょう。車輪サイズ18インチでスポーツバイク並のホイールベース(現タイプでは103cm)のirukaが、新聞紙より小さなサイズに。



ちょっと抱きしめたくなる小ささ(親バカならぬ創業者バカ)。



と言っても、まだ工場初試作ですから、もう山ほど改善点があります。
軽量化、走行安定性、ロック機構、ワイヤー類のレイアウト(写真でもワイヤーがメデューサの髪みたいに宙にうごめいてますね)などなどなどなど。

これから修正点を詰めてT2、T3、量産サンプルと進めていきますが、どこまで突き詰めるかはリリース時期とのトレードオフになってくる。
なんだけど、ここまで来たら半端な製品は出したくない。
ジョブズばりに理想を高く持って臨みたいと思います。

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冒頭の写真はサイクルモードで行った幕張。


2010年11月1日月曜日

パスポート持参ミスと帰国便欠航に関する経緯報告書


拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、表題の件、下記のとおりご報告申し上げます。



<経緯>

平成22年10月28日午前
私は中国江蘇省太倉市の自転車工場を訪問するため、成田国際空港で搭乗および出国手続を行ないました。
その際、自分のパスポートのみならず、妻のパスポートも持ってきてしまったことに気づきました。
妻は同31日朝から別件で中国に出張予定であったためパスポートを必要としていましたが、私は30日夜帰国予定であったため問題ないと判断し、本件を妻に報告するにとどめ、空港からパスポートを郵送するなどの措置はとりませんでした。

同30日正午頃
訪問先の工場にて携帯端末で飛行機の運行状況をチェックしていたところ、帰国便(中国東方航空 17:05上海発成田行き)が台風の影響で欠航になったことが判明しました。
驚愕および狼狽した私は、妻にその旨を連絡し、工場の車にiruka試作車を積みこんで上海浦東空港に向かいました。
なお、私は前夜の工場スタッフとの乾杯一気大会および大カラオケパーリーでいわゆる二日酔いの状態にありましたが、この間の判断および行動に特段の影響はなかったと考えております。

同30日午後
上海浦東空港に向かう途中、妻より「全日空で18時発成田行きの便を仮予約できた。ただし価格は正規料金に近い。空港で状況確認後決定されたし。とにかく明朝までにパスポートを持って帰れ。でないとコロス」との連絡を受けました。
空港到着後、中国東方航空のカウンターに赴き、以下の交渉を実施しました。

先方「成田行きは本日中の振替便はなし。明日以降用意する」
私 「マジか」
先方「700人以上の乗客がいるため何時の便か保証できない。場合によっては明日も無理」
私 「マイガー」
先方「大阪行きであれば今日18時発の便に振替可能」
私 「じゃそれお願い」
先方「ただしエコノミーは満席なのでキャンセル待ち。17時にチェックインが終わって空きがあったら乗れる」
私 「それ乗れなかったら全日空も間に合わないし終わりじゃん。ビジネスは?」
先方「ビジネスは空いてるけど、あなたの券はエコノミーなので振替できない」
私 「そこを曲げて」
先方「ダメ」
私 「プリーズ」
先方「しょうがないねえ。乗せてやる」
私 「謝々」

同30日夜
中国東方航空機で関西空港に着陸後、別の便で帰国した大阪在住のデザイナー梁氏と合流し、0時頃同氏宅に到着、そのまま就寝しました。

同31日午前
5時頃起床し、梁氏の自家用車で新大阪駅まで送ってもらい、6:13発新幹線のぞみに乗車しました。
9:30頃東京都文京区の自宅に到着、パスポートを受け取った妻は10:15頃成田国際空港に向けて自宅を出発しました。

<原因と今後の対策>
今後は以下の対策を実施し、再発防止に努めてまいります。
・パスポート保管場所の徹底運用
・出発前の二重チェックの実施
・空港でのパスポート郵送などパックアップ策の即時実行

今後ともお引き立て賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

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iruka試作車の状況については以降随時アップしていきますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

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冒頭の写真は上海万博の北朝鮮パビリオン。


2010年10月21日木曜日

デジャブの宴、そして白酒



前回の中国工場出張にて。

上海浦東空港から約1時間半のドライブで、工場近くのホテルに到着。
チェックインかと思いきや、ホテル手前の中華レストランに導かれる。

個室に入り、円卓を囲んで10数名が座る。
チームiruka一行+工場の社長、副社長、セールスなど他社員数名、我々以外の取引先数名(他の取引先も一緒に会食って日本だとちょっと考えづらいですね)。
すぐに大量の瓶ビールと料理がテーブルに並ぶ。
食べていると、不意に向かいの席から声がかかる。
「Mark」
(そう、今回から僕の仕事上のイングリッシュネームは「Mark」になりました。Masakiだから)
「乾杯(カンペイ)」
乾杯はグラスを干すのがルール。
遠くて手が届かないので、グラスを円卓の端に軽くぶつける。そして一気。グラスの底をお互いに見せる。
しばらくすると、別の中国人が言う。
「Mark」「乾杯」
乾杯の声は、特に前ふりなく、アトランダムに上がる。
そして(当然のごとく)アルコールが回るにつれて頻度は高くなる。一気、一気、一気。
中に一人、Sherryという魔女のように酒が強い女性セールスがいて、めちゃめちゃ飲まされた。
いやー飲んだ。

二次会はカラオケで歌って踊り、翌日は朝から工場でミーティング。
いい感じで話が進んで、そろそろ昼食という時間。昨日と同じ中華レストランに行く。

個室に入り、円卓を囲んで10数名が座る。
チームiruka一行+工場の社長、副社長、セールスなど他社員数名、我々以外の取引先数名(他の取引先も一緒に会食って日本だとちょっと考えづらいですね)。
すぐに大量の瓶ビールと料理がテーブルに並ぶ。
食べていると、不意に向かいの席から声がかかる。
「Mark」
「乾杯(カンペイ)」
乾杯はグラスを干すのがルール。
遠くて手が届かないので、グラスを円卓の端に軽くぶつける。そして一気。グラスの底をお互いに見せる。
しばらくすると、別の中国人が言う。
「Mark」「乾杯」
乾杯の声は、特に前ふりなく、アトランダムに上がる。
そして(当然のごとく)アルコールが回るにつれて頻度は高くなる。一気、一気、一気。
中に一人、Sherryという魔女のように酒が強い女性セールスがいて、めちゃめちゃ飲まされた。
いやー飲んだ。

完全にデジャブw まだ昼だってばww

フランクなもてなしは楽しいし料理もおいしいけど、毎食これはちょっときついなーと思っていたら、その晩の夕食は小ぢんまりとした台湾料理屋に店が変わった。

10数名が4つほどのテーブルに分かれて、各卓勝手に料理を頼んでビールも飲まずにひたすら食べる。
あー、今晩は休肝日ね。さすがに毎回じゃきついもんね。

と思ってたら食後に来ました、白酒(パイチュウ)。

50%のアルコール分を包含した無色透明の悪魔の液体。
なんでも食後に白酒を一気呑みすると胃腸に良いのだとか。良いわけないだろw

みんなテーブルくっつけちゃって、白酒乾杯一気大会スタート。
米のお酒だから香りと味はまろやかでおいしいんだけど、飲み干すと食道と胃が燃えたように熱くなる。
その日は割と穏当に瓶2本空けたくらいで終わったけど、いや、きつかったな。

大会終了後の選手たち↓



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冒頭の写真は上海万博、バルセロナの展示会場。


2010年10月19日火曜日

自転車ができるまで


irukaの試作を進めてる工場の写真を使って、自転車ができるまでの工程を紹介します。
(写真に写ってる自転車はirukaとはまったく関係ありません)

irukaもそうですが、自転車フレームの多くはパイプの組合せで作られています。
まずはパイプ屋さんから長いままで届いたパイプを、必要な長さに切り分けます。



パイプを曲げたり先端を切り欠いたりして必要な形に加工します。



パイプ同士を溶接してフレームの形に組み上げます。



溶接で発生した歪みを修正&T4・T6と呼ばれる熱処理(強度アップと溶接後の残留応力除去のため)にかけます。



そして塗装。



ロゴマークなどを貼っつけて、



フレームのできあがり。



組み立てラインでフレームにパーツ(ギア、ブレーキ、サドル、車輪などなど)を組み付けて自転車完成です。



フレームの強度テスト。
拷問みたいでしょ。



irukaの場合、フレーム以外にもオリジナルで作るパーツがいっぱいあります。
写真は試作車で使うために削り出しで作ったフロントハブ(前輪の車軸)。



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冒頭の写真は上海総工会本部。


2010年10月18日月曜日

試作第二弾、Coming SOOOON



先週はiruka試作第二弾(T1サンプル)の製作打ち合わせのため、中国に行ってました。

工場のある江蘇省太倉市は地図の上では上海市のすぐ隣、車で1時間ちょっとですが、結構な田舎。
ホテルと工場の周辺はまだ建物も多いけど(下の写真はホテルの窓から)、少し離れると畑が一面に広がるのみ。夜は真っ暗。




工場に着くと電光掲示板がお出迎え。中式w



打ち合わせはいい感じでした。
今月末にはようやく、ホントようやく試作第二弾が完成予定。
まだもちろんラフな部分は多いけど、試作第一弾(T0サンプル)に比べると格段にリアルになります。
再来週また訪中してT1サンプルを引き取り、次いでT2サンプル製作、そして(順調にいけば)量産と進めていきます。

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冒頭写真は外灘から眺めた上海浦東新区。


2010年10月1日金曜日

中国行ってきます(半年ぶり5度目)


iruka試作について久々のアップデートです。

再来週10/12から中国入りし、江蘇省の工場で試作の立ち会いをしてきます。

上海で試作第二弾に着手、最短で6末にはできるかも、とブログに書いたのが今年4月。
なんですけど、まーなんやかやで延びてしまいました。

設計の詰め(特に車体メイン部のデザインはその後大きく変えた)だったり、当初は上海の製造パートナーが他のいくつか外注先を使い分けて作るつもりだったけど「量産まで考えると、削り出しやパイプ加工など一貫してできる工場を使いたい」となって工場を探したり(で、江蘇省になった)。

向こうに行ったら、要所要所で決め事が出てくると思うけど作業中は基本的に暇。
CNCがアルミの塊を削ってくとこ(このビデオの1'50あたりのような感じだと思う)とか延々と見てても、ねえ。

中国はTwitterつながらないし、ブログも更新できないし(Bloggerはアクセス不可)、facebookもダメだし、何してようかな。
とりあえず図書館で本を調達しよう。

ともあれ、割と、というかかなり重要な局面なのでテンション上がってます。
帰国したら作業風景などアップします。

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写真は那智の滝。シルバーウィークの連休に熊野古道を歩いてきました。


2010年9月27日月曜日

足りないのは混乱


ちょっと奥さん、ご存知でした?
日本には昔180社もオートバイメーカーがあったんですって。

知りませんでした。

終戦直後、大小多くの企業がオートバイ市場に参入して、浜松を中心に中京地域だけで80社もあったんだって。

そして現在、電気自動車市場を見ると中国では「スモールハンドレッド」と呼ばれる多くのベンチャー企業群がしのぎを削っている一方で、日本ではベンチャーの新規参入はほぼ皆無。
これをもって「日本人にはベンチャー気質がない」というのは早合点で、オートバイ産業の例を見ればわかるとおり、気質はあるんだと思う。
どちらかというと足りないのは、終戦直後のような「既得権者がおらず全員がスタートラインに立っている状況」、言い換えれば「混乱」かと。

中国が文化大革命→市場経済導入、ロシアはソ連崩壊というとんでもない混乱を経て成長軌道に乗ったように、日本でも国債が大暴落してハイパーインフレが起こってお札も株も紙くず化して(僕個人にはとってもとっても困ることだけど)終戦直後のような混乱状態になれば、再びベンチャーが大量に生まれて次のトヨタやソニーのような企業が出てくるんだろう。

それは今エスタブってる人たちの持ってる資産の価値が限りなくゼロに近づくことを意味するわけで、論理的には、特に若い世代の人にはその方が良いと思うんだけど、僕としてはちょっとひよってしまうね。うーん小市民w
その点、社会的安定を維持しながらイノベータを生み続けるアメリカという国はやっぱりすごいな。

ところで、オートバイ産業で180社の激しい競争を勝ち抜いて残ったのが旧財閥系のメーカーではなく、ホンダ・ヤマハ・スズキといういわゆる当時の新興ベンチャー(ちなみに3社とも浜松発祥)だったことは示唆深い。自動車しかり、家電しかり。コンピュータしかり。
同時に、消えていった170社以上のオートバイメーカーのほとんどは、成功を夢見てチャレンジしたベンチャー企業だったことも目をそらしてはいけないんだろう。

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日本でもグルーポン市場には既に何十社も参入してるのね。「グルーポン」て一般名詞化してないか。

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写真は秋空にギラリと輝く東京カテドラル。


2010年9月8日水曜日

割と真顔でネットをリスペクトしてみる その2


僕は時々ふと「ああ、ネットってすごいなあ」と心から思います。
昨日もTwitterでブルーハーツの「1001のバイオリン」の歌詞がTL上を流れていったのをきっかけに思い出したので、忘れないうちに書いておきます。

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今年の春頃、宮崎あおいが1001のバイオリンを歌うCM(何のCMか忘れた)がネットで話題になり、曲そのものにも再び脚光が当たった。
が、なにせ1993年発売の曲だからCDなんてどこにも残ってない。リアルのCDショップはもちろん、Amazonでも新品・中古ともにすぐ在庫切れ。
一方で、在庫なんて関係ないiTunes Store上では大ヒット、最新のアーティストの曲を抑えて、何日間かチャート一位だった。

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今年7月、日本証券業協会が未公開株詐欺を防止するために「上場前に個人から出資を受けたベンチャーは上場できない」というとんでもないルールを作ろうとして、パブリックコメントを募集した。
有名会計士の磯崎哲也さん(元mixi監査役など。僕も知人に紹介をせがんでランチをご一緒させていただいたことがあります)らがTwitterやブログで「こんなルールができたら日本の新興企業マーケットは死滅する。反対意見のパブリックコメントを提出しよう」と呼びかけた。
通常パブコメがいくら集まっても結論が変わることはないと言われているが、本件では百通をゆうに越す反対意見が寄せられたことを証券業協会も無視できず、成立は見送られた
微力ながら僕も生まれて初めてパブコメを提出しました。

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両方ともネットがなければありえなかった出来事でしょう。
僕は、「ネット的」、すなわち所属とか肩書きとか地位とか関わりなく人と人がつながることで善なること・面白いこと・楽しいことをなせるのは素晴らしいと思っていて、その力を割と無邪気に信じています。
その点、自転車というのは極めて「ネット的な」乗り物だと思っていて、僕はネット業界は離れたけど、irukaを通じて「ネット的な世界」を実現していきたいと思っています。

マイケルジャクソンのダンストリビュートもすごかったもんなあ。

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写真は御宿海岸の砂防林。


2010年9月6日月曜日

控えめバズ体験


Twitterでちょっとしたバズを経験しました。

8/30にポストしたこのTweet:「従業員数:パナ38.5万人、ソニー17万人、アップル3.4万人。一人あたり営業利益:パナ50万円、ソニー19万円、アップル4400万円。どっしぇー。

(そこに至る前フリTweet:「時価総額と営業利益:パナ2.7兆円/1900億円、ソニー2.5兆円/317億円、アップル19兆円/1.5兆円(今期予測、1ドル85円換算)。アップルってホントすごいんだな。」)

その後24時間で100人以上の方に公式RTされ(非公式だと200を超えると思う)、フォロワー数も100人近く増えた。
セレブリティやアルファブロガー的な人たちからしたら何てことない数字だろうけど、僕レベル(9/6現在フォロワー数790)からすると「うわー拡散したなあ*_*」と思う規模感なわけです。
後日、二匹目のドジョウは狙えるか実験のつもりで日本のネット証券会社の業績比較をTweetしたんだけど全く広がらず。
やはりTwitterではネット/IT業界関係者が反応しやすいネタがバズりやすいのかな。
irukaも広告は一切使わずパブリシティとバズのみで行くという戦略を掲げているので(僕が一人で言ってるだけだけどw)、リアルで良い経験でした。

「アップルはファブレスだから一人あたり営業利益を比べても意味がない」という趣旨のリプライを割と多くいただいたんだけど、アップルも昔はファブあり企業(かつてアメリカ国内にも工場を持っていた)だったわけで、それがファブレスの今は単年度営業利益総額がパナソニックの8倍、ソニーの実に50倍近く、しかも売上高営業利益率が30%近いことを考えると、一人あたり利益の彼我の差は実に示唆深いと思う。
ちなみに「雇用、雇用」を連呼する管首相の要望に応えたら、平均年収756万円パナソニックは2万5000人ほど、平均年収980万円のソニーは3000人ほど社員を増やすと赤字転落してしまう。

僕のTwitterアカウントはこちら
ふぉろーりむーぶご自由にどうぞwww

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写真は御宿海岸、月の砂漠像。御宿は街中「月の砂漠」だらけ。商店街のポイントカードは「らくだカード」といいます。


2010年8月10日火曜日

バンビーノとモチベーション3.0


月イチ程度はマンガ喫茶に行ったり、スピリッツ/ヤンマガ/ヤンジャン/モーニングは毎週立ち読み(全部は読まないよ。2-3作品だけ)するくらいは漫画好きです。
今とにかく、というかここしばらくずっと、スピリッツの「バンビ〜ノ!」が熱いんですよ。

バンビと呼ばれるイタリアンの料理人(ドラマでは松潤)が主人公なんだけど料理マンガではなく、人間ドラマというか、レストランを舞台にした組織ドラマかな。
配置換えの不満とか、気難しい上司との和解とか、年上の部下との反目とか、組織で起こる葛藤や障害の描き方がものすごくリアルです。
作者は僕と同い年らしいけど、会社勤めで管理職の経験があるんじゃないかなー。

今は横浜の新店で全然客が入らず大苦戦していたんだけど、ちょうど今週(8/9発売の号)今までバラバラで温度差ありまくりだったスタッフ全員が会議で一丸になったところ。その会議がまた熱くて、2週連続コンビニで涙ぐんでしまった。

バンビは常に熱いんだけど、同僚から「たかが雇われの身で、なんでそんな熱くなるんだ」と聞かれてこんな風に答える。
「熱くなれる職場で働きたいじゃないですか」

ダニエル・ピンクの「モチベーション3.0」を読んだ。
有益な本なんだけど、特に目から鱗だったのが「クリエイティブな仕事では、交換条件的な報酬(◯◯達成したらインセンティブ××万円、みたいな)はモチベーションに効果がないどころか、むしろマイナスに働く」ということ。単純労働は別として、創意工夫を必要とする仕事では外発的動機づけ(=アメとムチ)は「やらされてる感」を生んで逆効果だ、と。

古巣の会社時代も新規開拓とか注力商材の拡販でよくインセンティブキャンペーンをやっても(僕自身も)今ひとつ盛り上がらなくて、たぶん今でも盛り上がらないと思うんだけど、それは覇気がないとか草食だとかではなく、それが当たり前だったんだ。
振り返ると、そして今後の株式会社イルカの組織化を考えると、何か会社全体で戦略的なアクションを起こしたいときは、インセンティブとかではなく、なぜそのアクションが今会社にとって必要かということを丁寧に共有することこそが大事なんだなー、と改めて思いました。

バンビはまさに内発的動機づけによって行動している。
お客においしいと言われる。仲間に頼りにされる。戦場のような厨房の熱気。ホールの活気。そんな、熱くなれる職場で働きたいんだ、と。
いいよね、そういうの。

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誤解なきように、「モチベーション3.0」は「金銭はどうでもよい」とは書いてません。
同業他社と遜色なく、かつ社内で公平な分配(働きに応じた適正額ということ。一律というわけではない)の給与があって初めて、内発的な動機づけが有効になると言っています。
経営に携わる人はぜひ一読をおすすめします。

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写真は御宿のひまわり。ひまわりの種の配列にフィボナッチ数列が現れる、って自然界マジぱねえ。


2010年8月9日月曜日

ものづくりは『もの/つくり』


元サムスン電子の常務だった日本人・吉良良三さんのインタビュー「サムスン電子の躍進に学ぶ、グローバル市場を見据えたものづくり」が面白かった。
全編面白いんだけど、第二部の「ものづくり」の議論が特に示唆的。

  • 「ものづくり」は「もの=設計思想、ブランド、デザインなど、頭を使うこと」と「つくり=製造工程、手を動かすこと」に分けられる

  • 高級ブランドの原価2000円のナイロンバッグが20万円で売れるのは「もの」を売っているから

  • 日本は「つくり」で世界を席巻したが「もの」はおろそかに→価格競争に巻き込まれ疲弊

  • アメリカはかつて日本に「つくり」を奪われて衰えたが「もの」で復権した

シャープが「亀山ブランド」を売りにしてるなど「つくり」にこだわる日本メーカーが依然として多い一方で、アップルは工場を持たず「つくり」は全て中国・台湾のEMS企業が担っている。
つまりMade in China/Taiwanなわけだが、(僕もそうだけど)消費者は誰もそんなこと気にしない。Designed by Apple in Californiaならどこで作ろうと構わない、と。

日本が「もの=設計思想、ブランド、デザインなど、頭を使うこと」に注力して再成長をめざすべきという考えには禿同だけど、既存大企業よりも新しいスタートアップ企業が新しいブランドを始める方が合理的と思っていて、そのためには、量産工程は中国に任せるとしても試作がネックなんじゃないかなーと思う。

大企業であればEMSに言えば喜んで試作してくれるし社内にもある程度人と設備を持ってるだろうけど、スタートアップは信用がないから大手EMSは相手をしてくれないし、かといって小さいところは人脈などがないと逆に中国台湾で信用できる先を探すのが難しい。
イルカは数社から断られた後にようやく今一緒にやってる会社に出会えたけど、日本で試作を回せる環境があればもっといろんなことが早いのに、と思う。
ま、そういう前提を踏まえていかに前に進められるかが力量ってもんなんですけどね。

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写真は御宿の海の家。海の家って海開き直前になると更地だった砂浜に忽然と姿を現すんだよ。知ってた?


2010年7月12日月曜日

自転車クラスタ暴論


Twitterをきっかけにリアルで会った人の数が1年ちょっとで30人を超えたと思う。
ブログ経由で会った人もいるけど、Twitter経由が増え続けてる感じ。
ReplyとDMでサクサク話が進むのがいいのかな。

お会いするのは、やはり自転車業界人が増えてます。
僕と同じようにメーカーを起業した人、デザイナー、小売の人、周辺サービスの人、ライターの人など、まとめて自転車クラスタと呼んでしまうと、どうも僕が会う限り自転車クラスタは他のクラスタに比べると:

料理好きが多い
飲み食いはもちろん好きだけど、自分でも作りたい、という。

楽器やってる人が多い
音楽聞くのは好きだけど、自分でも演奏したい、という。

Apple好きが多い
マカー、多いです。

以上3点は僕がまさにそう。

バイク好きが多い
バイクは乗らないのでここは全くわからない世界。
ただ何となく気持ちは想像できる。

十把ひとからげは乱暴だけど、総じて自転車クラスタは「自分で作りたがり/自分でやりたがり+マジョリティ嫌い+(やや)孤独癖あり」のように感じる。
つか僕がまさにそうなんだけどw
まー自転車はそもそも自分で漕がないと走らなくて、乗ってる間は基本的に自分ひとりで世界が完結する乗り物ですからね。さもありなん。

あとは産業としては日本においては(今ブームとはいえ構造的には)成熟〜衰退産業なわけで、ネット業界でよく見た「成長市場で自分も成長できそうだからネットやってます」みたいな人はほぼ皆無で「市場がどうだろうとオレはこれやりたいの」的な人が多いかも。そこは両論あると思うけど、僕は好きだな。
ただその分経営者的な発想をする人は見る限り少なくて、そこは僕が存在するニッチがあるかも、と思ったりする。

ともあれ、自転車クラスタ、楽しんでます。

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写真はエジプト、ルクソールのラムセス二世像。この像は誰だ? って聞くとほとんどラムセス二世なんだよね。


2010年6月17日木曜日

デザインとはHow it works


先日神保町の居酒屋で飲んでいて右手の指先にトゲが刺さり、どうしても抜けず痛くなってきたので病院に行く羽目になった。

なぜ居酒屋で指にトゲが刺さるのか?
その店は壁の酒棚の一部が隠しドアになっていて、その裏にトイレがあるという構造だった。
僕はトイレに入ろうとして木製の棚(兼ドア)を押した。
で、その棚がささくれていて、トゲが刺さったというわけ。
ちなみに酒瓶がぎっしり詰まっているので、ドアとしても異常に重く開けにくい。

某国で非日常的な空間ともてなしを売りにする某有名リゾートホテルに泊まったときのこと。
部屋のド真ん中にバスタブが置いてあった。
シャワーブースは部屋の隅。
床にポタポタ水を垂らしながらシャワーからバスタブまで移動しなければならない。
また、バスタブは周囲が壁に接していないからすぐ冷めちゃうし、だからとお湯を足しすぎるとオーバーフローの排水口がついていないからあふれてしまう。あふれたら部屋が水浸しだ。

デザインを重視するあまり、機能が損なわれている例だ。
というか、デザインとは何なのか誤解しているのだ。

かのスティーブ・ジョブズ曰く「デザインとは How it looks ではなく How it works だ」。
彼らはデザインを単に How it looks と考えているのだろう。
ひところ流行ったデザイナーズ家電とかデザイナーズマンションにも同じ例は多い。

僕は誓います。
irukaには機能的に意味のないデザインは一切施しません。

ちなみに上述のホテルは、何と言うか、セレブご用達みたいに言われることが多い。
かような不便も楽しめないとセレブとは言えないのか。
セレブ道は長く険しい。

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写真はルクソール神殿。右側のオベリスクはフランスにあげちゃったんだって。あげちゃダメだよう。


2010年6月10日木曜日

事を成すのは長い旅


「インビクタス」を見ました&読みました。
南アフリカのマンデラ元大統領とラグビーワールドカップの話です。
エジプトに行く機内で映画インビクタスを見て感激し、帰りの機内でも二度見し、帰国後原作の小説インビクタスを買って読んだ。

とにかくまあ、映画も小説もすごいです。
ぜひ見て&読んでいただきたい。超おすすめ。

映画はマンデラが刑務所から釈放されて大統領になるところから始まるけど、小説では大統領になるまでに本の半分が割かれている。
マンデラがアパルトヘイトに反対する政治犯として終身刑で投獄されてから釈放まで26年、大統領に就任するまで実に30年かかっているからだ。

マンデラは刑務所で看守から白人の言語を学び、白人の考え方や生活習慣を学び、丁寧に忍耐強く白人たちとの対話を重ねて釈放を勝ち取り、ついには大統領になり、自分を虐げた白人に復讐することなく融和を図り、アパルトヘイトをなくした。
すごいとか、尊敬するとか、何を言ってもうすっぺらにしか響かない。
30年ですよ、30年。
しかも終身刑で、どうして希望を失わなかったのか、想像もできない。

レベル感は違うけど、ジョブズがアップルを追放されてから、iPadを発表して時価総額でマイクロソフトを抜いた今年まで25年だ。

「事を成す」のは長い旅、スピードや時流に乗ることも大事だけど、旅を続けられるかどうか、意思の力が最も大切なのだなあと思った。
逆に言えば、孫正義氏は「登る山を決める」と言うけど、成果が出るか確証がない状態でも30年続けられる仕事または事業を、選んでいるかということだ。

irukaは・・・もし最初の数年でぜーんぜん売れなかったら、正直言って30年はちょっと自信がない。
僕はやっぱり凡人なのかなあ。
まあでも、凡人なりに、やるだけやってみます。

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写真はスフィンクスとピラミッド。


2010年6月7日月曜日

起業して後悔する人はいない


古巣オプト時代の後輩が一人、起業のために退職すると聞いた。
オプトは意外に起業する社員が少なかったんだけど、ここ2-3年で明らかに増えた。
良いことだ。
会社にとって起業する社員が増えることは、短期的には戦力ダウンになるが、長期的には組織の魅力を高めると思うからだ。

と言いながら、役員だった頃は立場上「もうちょっとオプトでがんばろうよ」と全力で説得していたけどw、今は起業したいという相談を受けたら一切止めない。
もちろん楽ではないし、思い描いた結果になる可能性も決して高くはないかもしれないけど、楽しいもん。

少なくとも僕は、起業して後悔しているという人に、会ったことがない。
「起業はそんなに甘いものじゃない」「サラリーマンもできない奴が起業して成功するはずがない」「経験も人脈もないじゃないか」「会社勤めから逃げてるだけだろう」なんてことを言って反対するのは、起業したことがない人ばかりだ。
そんなことは起業する人は皆多かれ少なかれ不安に思っていて、それでもなおチャレンジしようとしているのだ。
どんな理由であれ、どんなきっかけであれ、僕は新しいチャレンジをする人が好きで、応援したいと思っています。

などとあたかも僕に豊富な起業経験があるかのように書いたけど、僕はオプトでは「起業のプロセスに参加した」けど「僕自身が起業したわけではない」と思っていて、ちょっとした引け目のようなものを感じている。
確かに事業と資金の両面においてオプト創業メンバーの一人だったけど、起業したのはやはり創業社長の鉢嶺だし、2001年にネット広告代理店として再出発した新オプト(と便宜的に呼ぶ。僕はオプトは2000年以前と2001年以後は別の会社だと思っている)を作ったのは当時代表になった海老根だ。
「自分一人で起業したらどうなるか試してみたい」という思いは、イルカ起業の(大きくはないが確実に)理由の一つであったと思う。

というわけで、100%自分の起業という意味ではイルカが初です。
起業したばかりの人、同期として仲良くしてくださいw
現在起業を考えてらっしゃる人、ぜひ一緒に挑戦を楽しみましょう。

*このエントリを書くきっかけのブログを紹介しておきます。
起業したい若者に対する大人の本音
どんだけマッチョじゃないと起業できないんだ、日本は

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写真はモスク尖塔から見下ろしたカイロ市街、イスラム地区。


2010年5月24日月曜日

Let's Go Global


Twitter経由面白いブログエントリを見つけたので反応してみる。

曰く「電通・博報堂など総合系からオプト・サイバーエージェントなどネット系まで日本の広告関連企業の時価総額を合計しても約1.2兆円。Googleの時価総額14兆円の1割にも満たない。愕然」と(時価総額の計算は2010/5/21付)。

筆者の方は特に要因の分析はぜず「アメリカでは広告関連技術のイノベーションが盛ん」と書くにとどめているが、この時価総額の彼我の差は(イノベーションの力の強弱ももちろんあるが)僕は対象とする市場の違いが最大の要因と思う。

Googleは2兆円を超える売上のうち実に53%を米国以外から上げているのに対して、例として電通は1.7兆円の売上のうち海外売上はわずか9%。
僕の古巣のオプト含め、日本の広告関連企業はあまねく、ほぼ純粋なドメスティック企業なのだ。

広告費はGDPに、GDPは人口に(ざっくりだけど)比例する。
2008年の日本のGDPは世界の8%。さらに人口減が予想される日本だけを市場とする企業群の時価総額合計が、グローバル市場を対象として高いシェアを持つGoogle1社の1割にも満たないのは、合理的と言ってよいと思う。

率直に言って、僕はオプト在職時にはグローバル化の必要性は強くは感じていなかったし、実際に行動もしていなかった。
なんだけど、実際は上記のような状況なので、後輩諸君よろしく頼むw。ふがいない先輩ですまんww

irukaは・・・書くことで自分を追い込もうと思ってる面もありますが・・・、デフォルト世界で行きたいと思います。

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写真はエジプト、カイロのイスラム地区。


2010年5月21日金曜日

特に進展のない近況報告


長文を書くほどの出来事もないですが、以下散文的に近況報告申し上げます。

iruka T1(試作第二弾)は上海の工場で試作が始まってますが、まだお見せできるものはなし。私はT2(試作第三弾)以降の意匠面・オプションパーツ・ユーザーサービスなど考えてます。

GWはエジプトに行ってました。ピラミッドもすごかったけど、カイロの街歩きが面白かった。混沌。喧騒。

その行き帰りの機内で「インビクタス」見て、参った。行きで見て感動し、帰りでも見てしまったw マンデラさんに興味を持って何冊か本を読んでます。

旅先で読み終えた半藤一利さんの「昭和史」()が、もう、ものすごく面白かった。自国の歴史なのに、いかにわかってるようで全くわかってなかったか。

自転車関係で立て続けに何人か面白い人に出会いました。全てブログおよびTwitter経由。アウトプットし続けてればインプットもあるんだなあと思った。

知人の誘いでテニスの団体戦チームに加入。シングルスで二回出て、一回はチームの勝敗がかかった試合で勝利、一回は惨敗。勝てばうれしいし負ければ悔しいしで、練習の回数が増えつつある。

経営相談してほしい的な話がなぜか連続。オプトやめるときは「社外役員や顧問のお誘いが来すぎたらどう断ろう」と心配してたら一件も来ず、涙で枕を濡らしたのに。

バンド「カマタリ」の第二回ライブが6/27に決定。週イチペースでスタジオに入ってます。

という感じで平和に生きています。

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写真はピラミッド。ま、エジプトつったらとりあえずね。中生みたいなもんで、とりあえず。


2010年4月27日火曜日

折りたたみ自転車おすすめ書籍


自転車ツーキニストで有名な疋田智さんの最新刊。
これまでも自転車に関する数々のすばらしい著作がありますが、今回は折りたたみ自転車にフォーカスした本です。

ものぐさ自転車の悦楽〜折りたたみ自転車で始める新しき日々



これは、ということで早速読みました。

えーと。参りましたね。もう僕ブログに書くことなくなっちゃいました。
なぜ折りたたみ自転車が良いのか、どんな視点で自転車を選べば良いのか、僕なりにブログ(なぜ自転車か その1,その2/なぜ折りたたみ自転車か その1,その2,その3,その4折りたたみ自転車は遅いのか極小径車に関する考察)やiruka仮サイトでも書いて来ましたけど、もうこの本を読んでもらえばオールOKです。超おすすめ。

これから折りたたみ自転車に乗ろうという方には完璧な本ですが、唯一惜しむらくは、irukaが載っていないことw
製品が出てないんで当たり前なんですけど、文庫化あるいは電子書籍化の暁にはirukaもおすすめ折りたたみ自転車として載せてもらえるようがんばります。

関係ないですけど、「不思議の国のアリス」iPad版が元々すごいのにさらに日々アップデートされてるようで、電子書籍の未来を感じます。
買った本の内容が新しくなっていくって、ちょっとすごい。
KindleでもiPadでもいいから、日本の出版社のみなさん早く電子化進めてくれい。
そしてこの本が電子化されたときにirukaが載るようにしてくれい。

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写真は京都・大徳寺にて。まさに輪行で行きました


2010年4月19日月曜日

私を火星に連れていけゴルア


オバマ大統領の「2030年代に人を火星軌道に送る」という発表を聞いて、わくわくしていても立ってもいられなくなりました。
ぼかぁ実は宇宙好きなのです。
今回の発表は「火星の周りを回る軌道に人を送る」であって「火星に人が降り立つ」わけではないのですが、それでもすごいことです。

そこで、自転車とは全く無関係ですが、いかに火星に行くのが大変なことか、半端な知識を垂れ流してみたいと思います。

まず、遠いです。火星。
地球も火星も太陽の周りを公転してるので刻一刻と距離は変わりますが、理論上の最短距離でも地球から5600万km、月までのざっと150倍です。
アポロ計画で月まで片道3日かかってますが、火星までうまいこと燃料を節約できる軌道(ホーマン軌道)を飛んで片道250日・8ヶ月前後かかると言われています。
さらに、帰りにまたその燃料を節約できる軌道にタイミング良く(火星と地球と太陽の位置関係で)乗るため火星の周りをぐるぐる回って500日近く待ってなきゃいけないらしいんです。つまり往復1000日の旅。

まじすか。じゃ節約とか言ってないで燃料バンバン使って近道飛ぼうよ。と思いますよね。
・・・今の技術だと無理みたいなんです。
というのは、ホーマン軌道を飛ぶのであれば地球を飛び立つときと方向変えるときの燃料さえあればよいですが、近道するには太陽の重力とか地球の公転の慣性に逆らって飛ぶための膨大な燃料が必要で、ロケットが重くなりすぎて地球を飛び立てない(地球の重力を振り切るためには秒速11km以上(第二宇宙速度)必要)らしいんです。

じゃせめて、ぐるぐる回ってないで火星に降りようよ。せっかくだから。暇なんだし。と思いますよね。
・・・火星に着陸するのにロケットを減速させるためと、帰りに火星を飛び立つための燃料が必要で以下同文です。

しょうがない。往復1000日、火星は着陸しないでぐるぐる回るだけでいいからすぐ行こうよ。ベンチャーはスピードだよ。と思いますよね。
・・・1000日間2〜4人の乗組員が生活するための物資(食料・飲料など)が膨大で以下同文です。
無重力状態の影響(骨や筋肉がすぐ弱る)、ストレスなど乗組員の健康面の問題もあります。中でも怖いのが宇宙線。宇宙空間は地表のように大気で守られていないため、船の中にいてもX線やガンマ線など浴びまくり状態です。分厚い鉛でも貼って防ごうとすると船が重くなって以下同文。

じゃ期間短くしようよ→振り出しに戻る。絵に描いたような堂々巡りです。

そこで、僕が知ってる限り以下のような対策が検討されているようです。

・月で宇宙船を組み立てて飛ばす→地球より重力小さいので少ない燃料で済み、その分荷物(帰りの燃料、物資など)を増やせる
軌道エレベータ上で宇宙船を組み立てて飛ばす→同上
・先に燃料生成ユニット(空飛ぶコンビナート)を火星に送って、火星の大気で帰りの燃料を作る
・藻類などを使って「宇宙船の中で」生態系を作り、食料・飲料・呼気など全て排泄物からリサイクルする
・藻類などを使って「宇宙服の中で」生態系を作り、食料・飲料・呼気など全て排泄物からリサイクルする
・宇宙船を錘につないで飛んでる間回転させ、人工的に重力をつくる

えーと、何と言うか、大変そうだなあというのはわかりますよね。

大変そうだけど、面白いなあ、夢がある話だなあ、と思った方におすすめSFを紹介します。

火星縦断」J. A. ランディス著(ハヤカワ文庫)
帰りの燃料は向こうで作ってあるんでささどうぞって言われて火星来てみたら燃料漏れちゃってんじゃん地球帰れなくね。という話。著者はNASAの科学者でリアルこの上ないです。

沈黙のフライバイ」野尻抱介著(ハヤカワ文庫)
火星有人探査モノ2篇を含む短編集です。のみならず軌道エレベータ、生態系スーツなど重要トピックが網羅されてます。タイトル篇は恒星間飛行&異星人コンタクトモノ。

気分が乗ったら恒星間飛行に関する浅薄知識垂れ流しエントリも書いてみようかな。

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写真は石の配置が異星人からのメッセージであるという説が有力な(ウソ)龍安寺石庭。


2010年4月15日木曜日

日本の自然、日本の街並



先週末、相方の会社の課旅行にくっついて山梨に桃見物に行ってきました。

すごいとは聞いてはいたけど、山梨の桃はちょっと想像を絶してたね。
盆地全体がピンクに染まってるんだもん。圧巻。



で思ったんだけど、日本の自然は本当に美しいなあと。
春夏秋冬、東西南北、海に山に、それぞれに息をのむような美しい風景があるなあと。
・・・でも同時に、日本は自然の美しさを相殺してしまう残念な街並も多いなあと。

前にも書いたことがあるけど、日本の街並は、都市も郊外も、清潔ではあるけど美しくないと思う。
僕もその一人ですが、これは自転車をメインの移動手段にすると多くの人が気づくことです。
irukaをきっかけに自転車に乗る人が増えて問題意識を刺激できればと思うけど、刺激しっぱなしではなく、次にどのような行動をとるべきなのかまで提示できるようにしたい。

実現性を考えると迂闊なことは言えないけど、理想だけ書いてしまうと・・・市街エリアはコンパクトに集中していて(徒歩・自転車・トラムで十分に移動できるくらい→コンパクトシティの考え方)、街の外は豊かで手付かずの自然が残っていて、街全体の景観に秩序だった美しさがあって、歴史的な建物がちゃんと保存・活用されていて(旧市街が残ってたら最高)みたいな。
行ったことある街でいうとドイツのデュッセルドルフやハイデルベルグとかノルウェーのオスロとか。
だったら東京住むなよと言われるとちょっと返す言葉がないんだけど、何をすべきか模索していきたいと思います。

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冒頭の写真は山梨県笛吹市、菜の花畑の中に立つ桃の木。


2010年4月6日火曜日

チームiruka<製造編>


株式会社イルカは相変わらず僕だけですが、チームiruka<製造編>は今のところ4人がコアメンバー。

梁さん(デザイナー 大阪在住・韓国籍)
方さん(製造工場社長 上海在住・中国籍)
程さん(自転車商社社長 大阪在住・中国籍)
小林(イルカ社長 東京在住・日本国籍)
*何か差し障りがあると何なので僕以外は社名とフルネームは控えておきます。

最初に梁さんをググって見つけ、梁さんの昔からの仕事仲間である程さんに会い、程さんに上海の方さんを紹介されて今に至ります。
方さんは社長であると同時に自身も優秀で経験豊富な自転車エンジニア。彼が加わって製造面の話は大きく進展した。
程さんの紹介がなければ方さんを見つけることすら無理だったはずで、事業、特に立ち上げ期というのは人の縁が大事だなあと思う次第です。

国籍だけ見ると、韓国・中国・日本と、期せずしてオール東アジアな布陣。
言語がボトルネックになるサービス業と違って、ハードウェア製造は世界展開にあたって国籍を問わない事業だと思う。
なんだけど日本では、松下やソニーといった「戦後ベンチャー」以降有力な日本メーカーが出てきてなかったり、せっかくの大大大チャンスなのに電気自動車ベンチャーがほとんどいなかったり(米中にはうじゃうじゃいるのに)、僕は別にナショナリストではないけど、何となく悔しい感じがする。

折りたたみ自転車なんていうニッチな分野で申し訳ないんだけどw、irukaはアジア発・日本発の世界ブランドめざしてがんばります。

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写真は京都・貴船神社参道。境内で「1. 就職できますように 2. 彼女ができますように 3. 宝くじが当たりますように」と書かれた絵馬を見た。選択と集中を考えてはどうか。


2010年4月2日金曜日

試作第二弾スタート その2


通常、自転車のフレームというのは金属のパイプを溶接して作ります。
なんだけど、irukaのフレームは少し、というかかなり特殊なのでパイプだけでは作れず、いくつか金属の塊を加工して作る箇所がある。
もちろん塊のままでは重いので肉抜きして軽量化を図るんだけど、まあ塊は塊です。

その塊パーツを作る方法はざっくり3つ:

1. 削り出し
フライスと呼ばれる切削工具に塊をセットして、入力したCADデータどおりに削っていきます。
MacBookのユニボディなんかまさにこれ。

2. 鋳造
溶かした金属を型枠に流しこむ作り方。大仏ですね。

3. 鍛造
型を作って金属を流し入れ、さらに圧力をかけます。「熱した金属を鍛えて作る」という意味では、型は使わないけど刀鍛冶がそうです。

量産時はどうするか未定ですが、とりあえず試作第二弾の塊パーツは全て削り出しで作ります。
鋳造と鍛造には金型が必要で、これが結構高い(型一つ作るのに数十万円から大きいと数百万)。
削り出しはデータだけあれば作れるので安い&速く、試作には最適です。

用いる素材は7003アルミニウム合金。
頭の4桁は他の金属を混ぜる種類・分量を表わしていて、これが違うと同じアルミでも性質が大きく異なります。
例えば1000番台はアルミ箔、3000番台は飲み物の缶なんかで使われるけど、強度が要求される自転車では硬めの6000番台か7000番台が使われます。

アルミは鉄に比べれば軽いけど、上に書いたような塊材を使うと全体ではどうしても重くなりがち。
塊部分にはアルミより半分近く軽いマグネシウムを使えないかとか、でもアルミパイプとマグネシウムは溶接できないから接続方法を考えなければとか、カーボンもだいぶコストが下がって来たから検討すべきだとか、そんな話が今回のミーティングでは出てきました。

新しい事業には新しい学びがあって、何と言うか、楽しいです。

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写真は上海浦東空港。