2009年3月26日木曜日

声出してこーぜ


5年ほど前、義姉一家を訪ねて宮崎に行ったときのこと。

甥っ子たちを連れて海に遊びに行った帰り、街道沿いの回転寿司屋に入った。

カウンターの中に若い男の職人が3人、威勢良く声を張り上げている。
「えーい、中トロひとつ、かしこまりましたー。回ってないネタはどんどんご注文くださいよーー」など、声が途切れることがない。

席についてマグロの握りをとって気づいた。
シャリの形がキレイすぎる。
人が握っているのではなく、機械で押し出して作っているのだ。

では、カウンターの中の男たちは寿司を握らず何をしているのか?

改めてよく見ると、彼らは奥の調理場から寿司皿をとって回転ベルトに並べながら、ただわめいているだけだった。

声出し要員だったのだ。

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写真はひな菊。桜ももうすぐ見頃ですね。


2009年3月25日水曜日

本日のコーヒーがまたやってくれた


<前回までのあらすじ>
昼食後スタバに行くのが習慣の正樹は、レジ横にある「本日のコーヒー」の紹介文が店ごとに異なることに気がついた。ある日彼は、南青山骨董通り店とんでもない紹介コピーを目にする。

南青山骨董通り店、またやってくれました。

2009年3月24日、「グアテマラ」の紹介コピーはこちら:


青山のような上品さ


もう一回、今度は見逃さないでね。


青山のような上品さ


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写真は青山にて夕方の空。言われてみると心なしか空も上品かも。


2009年3月13日金曜日

<irukaの差別化>持ち運びやすさ



irukaが製品面で深く追求し差別化したいと考えている点その2、持ち運びやすさ。

そもそもなぜ折りたたむかというと、持ち運ぶためですから。

持ち運びやすさの構成要素は「重さ」「折りたたんだときの大きさ」「その他の工夫」の三点。

この中では「重さ」が最もイノベーションの余地が小さい。フレーム用の軽量新素材としてカーボンが人気だが、自転車というのは実はフレーム以外のパーツの重量が大きいので(その代表は車輪。タイヤにリムとスポークを合わせると前後輪で2kg以上ある)フレームをカーボンにしても全体の軽量化効果は小さい上にコストが跳ね上がる。今のところアルミフレームで10kg前後がターゲット。

次は「折りたたんだときの大きさ」。以前紹介したA-Bikeのように車輪が極端に小さい自転車であれば折りたたみサイズも驚くほど小さくできるが、そのかわり自転車の本質である「走る機能」を大きく損なうことになる。従ってボトルネックは車輪の直径だが、irukaはある機構によって下のように折りたたみ時の「高さ」をタイヤ直径と同じくらいまで小さくする。


オフィスビルの入り口からエレベータホールまでとか、駅舎の入り口からホームまでとか、折りたたんだ状態で移動する距離は意外に長く、折りたたんで小さくなっても10kgの物体を持ち運ぶのは男性の僕でもかなりきつい。そこで「その他の工夫」を考えなければならない。
まずは「転がして運べる」こと。平らな場所で転がせれば、持ち運びの負荷は八割方軽減される。当初からそのつもりだったが意外にスマートな設計ができず苦戦、今年に入ってようやく目処がついた。
もう一つ、折りたたんだ状態での置き方。普通は上の絵のように横置きするが、意外に面積をとるため電車の中などで置き場所に非常に苦労する。そこで、irukaは縦に立てて置けるように設計中。スーツケースみたいに、電車内でも席に座って足の間に置くことが可能になる。はず。ちょっと窮屈だけど。


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写真は飛行船。飛行してました。


2009年3月11日水曜日

美女也ーな男(ヤツ)


イルカがいるシェアオフィスには、ちょっとした共有図書スペースがある。
要は、いらなくなった本の墓場です(笑)。
なので基本的にロクな本はないが(笑)たまに「え?これ捨てちゃうの?」という良書もある。

ビジョナリーカンパニー」があったので久々に読んでみた。

改めて明確に、もう本当に明確にわかったことがある。

僕は別にビジョナリーカンパニーを作りたいんじゃない
世界一イケてる折りたたみ自転車を作りたいのだ

ということ。

ビジョナリーカンパニー、すなわち永続的に成長する企業(3M、IBM、HP、ウォルマートなどが挙げられている)は、多くの事業を試してうまくいったものを残した結果、当初の計画とは全く違う事業で成功している会社が多い、という。

でも僕にとっては、もし株式会社イルカが自転車以外の事業で儲かっても、折りたたみ自転車ブランドirukaが成功しなければ意味がない。
極論すれば、irukaの成功のためには会社の永続的な成長は犠牲にしても構わない(極論すれば、ですよ)。

関係ないけど「びじょなりー」を変換したら最初「美女也ー」と出た。バカっぽい殿様がお座敷で「つまらぬ話はやめじゃ。おなごを呼べおなごを」とか言って芸妓がすすすっと入って来、殿様がものすごく嬉しそうに「いやー、美女なりー!」とか言ってる光景が瞬時に脳内に展開されました。脳ってすげ(笑)。

そうそう、来週また台湾に行ってきます。

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写真は神田にて。昭和か。いや、このツッコミじゃ弱いな。大正か。


2009年3月3日火曜日

経営スパゲティ


ソニー社長が退任しますね。

ストリンガー会長が社長を兼務してトップダウンを強化云々などと書かれてますが、大変そうだなあ、と。
大変、というのは、誰がどんな体制でやっても複雑すぎて経営できんのでは、と。

テレビやウォークマンやデジカメにパソコンも携帯電話もありますよ
ならまだしも、ゲーム事業も映画会社もレコード会社もあり、はては金融まで(それも、銀行・証券・生保・損保まで)ある。

経営陣が全員集まって話せる時間が月に3時間あるとしたら、

任天堂経営陣がゲームのことだけ
デル経営陣がパソコンのことだけ
キヤノン経営陣がデジカメなど光学系機器のことだけ話してる間に、

ソニー経営陣は、テレビ事業の黒字化対策を議論しながらVAIOの新しいのは調子いいですよと話してる間にどうすればPS3が伸びるのか考える必要があり、でもソニーエリクソンの携帯の話もしなきゃいけないから金融事業の話は来週秘書に時間調整させるねCDの売上が落ちてる件はメールしてね。みたいな感じでしょう。

ストリンガー氏だろうが中鉢氏だろうが出井氏だろうが、もう全ての事業を理解してマネージするのは無理だと思うんですよね。
とかくソニーは最近の経営陣のせいで凋落したように言われがちだけど、下地はここまで事業を広げるだけ広げてしまった大賀氏以前の時代にある、と思う。

オプトでも経験あるけど、「集中・専門化」で成功すると、誰もが次は「拡散・多角化」に進んでしまう。
いったい何なんだろう。人間の本能でしょうか。

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写真は夕方の空。寒い。


2009年3月2日月曜日

<irukaの差別化>デザインとdesign


irukaが製品面で深く追求し差別化したいと考えている点その1、デザイン。

iPodの裏には「Designed by Apple in California」という文字が刻印されている。
日本で「デザイン」というと、とかく製品の外観だけを言いがちだが、英語でいう「design」は本質的には外観のみならず機能・機構まで含めた全体設計、カタカナ英語でいうと「プロデュース」みたいな概念であろうか。
デザイナー家電とかデザイナーハウスなどいわゆる日本でいう「デザイナー製品」は、確かに外観はキレイだけど使いにくい、というモノが多い。これはdesignが優れているとはいわない。

irukaはデザインもdesignも優れた自転車にします。
機能美、とでも言うんですかね。

にあたって、以下を心がけて進めております。
 Form follows function(形は機能に従う)
 Ornament is crime(装飾は罪)
 God is in the details(神は細部に宿る)

外観のことだけ話すと、走るときの姿はイルカっぽい流線型を活かした形状になります。

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写真は御宿海岸沿いで見つけた廃屋。時間が止まった感じ。